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黄金色の油、「金ぷら」と呼ばれた椿油の話


徳川家康が選んだ「守りの油」
― 金ぷらと、長寿を支えた暮らしの知恵 ―

日本史上、最も長生きした将軍

徳川家康は、75歳で生涯を終えました。
戦国時代という過酷な時代を生き抜いた将軍としては、異例の長寿です。

それは、特別な体質だったからというより、
日々の暮らしを大切に整えていたからだといわれています。

家康は「健康管理の人」だった

家康は、食事や睡眠、体調管理にとても気を配っていた人物として知られています。

暴飲暴食を避け、
腹八分目を心がけ、
小さな不調も見過ごさない。

当時としては珍しいほど、
養生を重んじる生き方を実践していました。

天ぷら好きと、油へのこだわり

家康は天ぷらを好んだ、という話が残っています。
一方で晩年には、油のとりすぎが体に負担になることも理解し、
量や頻度を控えるようになったとも伝えられています。

そんな家康が選んだといわれる油が、椿油。
椿油で揚げた天ぷらは、からりと軽く仕上がり、
たくさん食べても胃もたれしにくいといわれています。
黄金色に澄んだその油で揚げた天ぷらは、
当時「金ぷら」と呼ばれるほど、貴重な存在でした。

なぜ、椿油だったのか

椿油は古くから、

・酸化しにくい
・くせが少ない
・保存性が高い

といった特性を持つ油として知られてきました。

家康にとって油は、
「味を楽しむためのもの」であると同時に、
体に負担をかけないことが何より大切だったのでしょう。

派手さはないけれど、
長く使える、信頼できる油。
それが椿油でした。

「金ぷら」が映す価値観

「金ぷら」という呼び名は、
金色に輝く油と、天ぷらを掛け合わせた言葉。

それは贅沢さを誇るためではなく、
良質なものを、少しだけ、大切に使う
そんな暮らしの姿勢を映しているように思えます。

天下を治めたあとも驕らず、
自らを律し続けた家康の姿と、重なります。

守ることが、長く生きること

家康の健康法は、
体を無理に変えることではありませんでした。

整えること。
守ること。
そして、続けること。

椿油は、その考え方に
自然と寄り添う存在だったのでしょう。

今に伝わる、椿油の静かな力

時代が変わっても、
体や肌をいたわるという本質は変わりません。

黄金色の「金ぷら」が語り継がれるのは、
椿油が単なる油ではなく、
暮らしを支える知恵だったから。

家康が選んだ「守りの油」は、
今を生きる私たちの毎日にも、
そっとヒントを与えてくれます。